夢とDream

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日本語で「夢」という言葉には、夜に見る夢と未来の希望を表す夢と2つの意味があります。ぜんぜん違う意味の2つがひとつの単語というのは紛らわしいと日常感じています。それが英語のDreamも同じ2つの意味が含まれるというのは、とても不思議なことです。

夜に見る夢は、睡眠中に脳が作り出す映像や物語です。時には楽しく、時には怖く、時には意味不明な内容になります。一方、未来への希望としての夢は、自分が実現したい目標や願望を表します。

おもしろいことに、他の言語でも同様の例があります。たとえば、フランス語の「rêve」やドイツ語の「Traum」も、夜の夢と希望の夢の両方の意味を持っています。これは世界中の文化で、夢と希望が密接に結びついていることを示唆しているのかもしれません。

この2つの意味が、日本語と英語で同じように存在するのは、人類共通の経験や感覚が言葉に反映されているからなのか。夜の夢と希望の夢は、どちらも現実とは異なる世界や状況を想像する点で共通しているとも考えられます。

しかし、日本語の場合は、もともと「夢」という単語は、夜に見る夢という意味しかありませんでした。明治時代以降に日本語中に英語が入っていく中で、Dreamとの混在から、「夢」という単語に未来の希望という意味が含まれるようになったということです。

このように、言葉の意味は時代とともに変化し、他の言語との接触によって新しい意味が加わることがあります。「夢」という言葉の変遷は、日本の近代化と西洋文化との出会いを象徴的に表しているとも言えるでしょう。

現代では、「夢を持つ」「夢を追いかける」といった表現が日常的に使われ、希望や目標という意味での「夢」は完全に定着しています。夜に見る夢と希望としての夢、この二重の意味を持つ言葉は、私たちの想像力と願望を豊かに表現する手段となっているのです。

言葉の意味の変化は、その時代の人々の思考や価値観を反映します。「夢」という言葉の変遷を通じて、私たちは日本の文化的な変容と、言語がいかに柔軟に進化していくかを学ぶことができます。