お客様は神様です

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「お客様は神様です」というフレーズはあまりにも有名です。

商店や飲食店だけでなく、サービスを提供する場では、お客様が神様で絶対的だという風潮が広がってしまいました。「こっちは客なんだぞ!!」と怒り狂う客。客は神のようにエラいというわけです。

社員教育の中でも、「お客様は神様ですから」と接客の心得のように語る場合もあるそうです。日本社会に浸透した考え方となってしまっているかもしれません。「お客様は神様です」というフレーズが独り歩きして、サービス向上の合言葉にもなったのでしょう。役所の窓口も来訪者は客みたいなものなんだから、もっと丁寧に対応しろよって発展している感じです。

サービス提供者も人間なのだから、コミュニケーションが大事だとちゃんと理解して接する人がほとんどなのはもちろんですが、なにかトラブルっぽいことがあると「お客様は神様です」というフレーズが頭をよぎります。お客なんだからきちんと対応してほしいと...。それほどインパクトが強いフレーズです。

検索をすればすぐに出てきますが、この「お客様は神様です」というフレーズは、昭和中期に活躍した歌手の三波春夫氏が、地方公演での司会者とのやりとりで発したフレーズです。それがウケたので、漫才トリオのレッツゴー三匹が漫才のネタにして、1972年の流行語となったそうです。

「お客様は神様です」というフレーズは、「あたかも神前に立った時のように澄み切った心で歌わないといけない」という気持ちからきたフレーズです。お客様を神様に見立てて歌うということで、歌う側の姿勢を語ったものです。お客様がイコール神様なわけがありません。

「お客様は神様」の誤解は、三波春夫氏の生前から語られてきたことらしいのですが、全然広がっていません。今の時代なら、インフルエンサーがこのことを知って広げていったら、半世紀も続く誤解が解けるかもしれません。