桂沢湖で知り合った大学生

  • 投稿日:
  • カテゴリ:
 社会人に成り立てのころ。ある夏の日に一人で桂沢湖に行った。いつものようにフラッと、目的もなく。そして、桂沢湖を散歩して帰ろうかと思ったとき、RG250ΓとCBR250Rに乗った二人組が来た。まあ、いつものようにあいさつ代わりに手を上げて、立ち去ろうとしたとき、彼らは、こちらに真っ直ぐと向かって来て、隣へバイクを並べた。

 急ぐわけではないので、出発しようとしているのではなく、今まさに到着したようなふりをして、ヘルメットを外した。彼らもスタンドを降ろし、ヘルメットを外した。「こんにちは」と見せた顔は、自分より少し年下であろうかという二人だった。そして、この桂沢湖には、男が3人だけで、他には誰もいなかった。

 二人は、札幌と名の付く江別市にある大学の学生だった。バイク談話に花が咲いた。互いに名前も知らない。バイクの名前で呼び合うのもライダーならではか。さて、炎天下で話をしていても暑いだけということで、岩見沢に移動することにした。高速道路の岩見沢インターチェンジ付近の小さな喫茶店だった。40代くらいの女性が経営している白を基調とした店だった。彼らは常連のようだった。普通の大学生と普通の話をし、解散することに。

 こんな何気ないことも、バイクならではなのだろう。車だったらあり得ない出来事なのだろう。よく語られることだが、不思議なものである。バイクの乗っていた期間は、今となっては、ほんの短期間だが、とても長く感じる。

 別にバイクをやめたわけではなく、車と両方を維持していくことができないという経済的な理由で、バイクはしばらく休憩というわけだ。それが十数年たっただけのこと。しかし、当時のヘルメットは、見ると内側が変色し、ライダーグローブもカビが生えていた。そろそろ、バイクに乗ろうかな…。でも、用品すべて買い換えだな…。

 移動する手段は、二つもいらない。両方を所有する理由が自分の中にほしい。車は移動用、バイクは趣味。車で行けないところといえば、オフロードバイクになるか、それとも、単に風を切って走るオンロードバイクか。迷うところである。125か250のスクーターもいいかもしれない。

 趣味といえるかどうかわからないが、デジカメで写真を撮るにしても、車は急に止まるわけにはいかない。流れを乱してしまう。いい景色に出会っても、バックミラーを見て、安全を確かめて、ダメなら急停止はあきらめる。特に山道で急に停止するなんて、後続車は予想もしていないだろうから、事故の原因になるのではと心配になってしまう。通り過ぎてから、安全に停止し、Uターンするのも億劫である。

 その点、バイクなら、路肩に逃げ込んで、ゆっくり止まればいい。路肩は砂が一面浮いているから、急停止は危険。でも、思い立ったときに止まることができる。夏の日にそんなゆっくりとした日を過ごすのもいいだろう。そして、人との出会いがあれば、十分な休日だ。