中標津の郊外にある「開陽台」。最初は、道路地図にもガイドブックにも載っていないライダーの聖地だった。遠く野付半島や北方領土も見える。夜になると遠くに街の明かりが見えるが、ほとんどは暗闇で、街灯さえもないこの付近では、その街の明かりが恋しく思うほどである。今はないが開陽台温泉からの夜景も印象に残っている。夜景といっても遠くに明かりが見えるだけで、半端でないほど人里から離れていることを実感させられる。
メジャーになるとトイレも新しくなり、施設も整い快適にはなる。つまり観光地化されてしまうのだった。開陽台展望館ではおみやげコーナーもある。夜は車でやってきた若者が駐車場で騒ぐ。花火を上げ、うるさい限りである。さんざん騒いだ後、車で立ち去る。再び静寂が訪れる。風の音だけ。
西へ行くと摩周湖がある。有名な観光地である。人も多く「神秘」という言葉はすでにふさわしくないほどだ。そんなときは、裏摩周へいくといい。人も少なく、この静けさが摩周湖にふさわしいと感じることだろう。しかし、表側から来るには、かなり遠回りをしなければならない。湖を周回する道路はないので、1時間半もかかる。一つの旅で両方を楽しむのは時間的には苦しいだろう。また、近くにある硫黄山も観光地化されている。駐車場は完備され、硫黄の噴煙がたちこもる場所もすぐそこに見える。硫黄山のパノラマは、噴煙と人。人だらけである。しかし、自分もそのパノラマの一部になって噴煙に消えていくことになる。
このあたりは、観光地が多く、阿寒湖もそばにある。遊覧船では、アイヌのまりも伝説などの話も聞ける。実際に身近にまりもを見ることもできる。アイヌコタンもあり、見どころは多いが、それだけに人も多い。とても山奥という感覚はなくなってしまう。ミツバチ族といっても、所詮観光客なのである。観光地へ向かう移動手段でしかないのか。
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