根室の納沙布岬

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 根室半島は、根室市街を起点に半島を一周することができる。最近は積丹半島も一周できるようになったが、折り返しではなく、一周できると行きと帰りで違う風景を楽しむことができる。根室半島は3回ほど行っただろうか。いつも南側から先端の納沙布岬へ向かう。最初は特別な意味はなかったのだが、この半島の南側と北側は全く違った様相を表し、小さな街が点在する南側と最果ての感を漂わせる北側となる。

 南側の点在する集落は、漁業で生計を立てていて、小さな漁港がある。そんな街並みの先には、日本の本土最東端である納沙布岬がある。そこからは、北方領土が見える。歯舞諸島貝殻島までは、4kmも離れていない。日本語の地名がたくさん残っているが、現在はロシア領である。隣国である。普段札幌にいて、ロシアが隣国ということを意識しないであろう。実際には魚介類の売買で物流があるのだが、それでも身近な感覚はない。しかし、根室市内の標識には、花咲の居酒屋にもロシア語が併記されていて、ここが最果ての場所であることを感じさせる。

 高さ97mの平和の塔からは、北方領土も見えるが、反対側の根室半島のパノラマも見応えがある。山がなく、高い木もなく、遠くまで見渡すことができる。傾きかけた日差しが、大地を照らす。草が日を浴びてきらきら光っている。北方領土を望む東側と根室半島を見渡す西側は、全く違った光景を映し出すのだった。

 北側の道を通り、根室市街に戻る。この道は、平和の塔の展望で見たとおり、多少のアップダウンがある平坦な地形を進んでいく。民家は見あたらない。南側の道とは明らかに雰囲気が違う。

 この地を最初に訪れたときは、SuzukiのTS125Rに乗ってきた。125ccのオフロードバイクである。市街や未舗装路を走るには、とても小回りが利き、使い勝手がいいのだが、このバイクで札幌から東の果てまでは少々疲れてしまう。それは、排気量の小ささもあるし、軽量なため、風の影響も受ける。細い車体は、ニーグリップもしづらい。長距離には適さないのは当然である。しかし、多少国道から離れ、北海道をより堪能するにはオフロードバイクはある意味適しているともいえる。車で観光地を結ぶラインを駆けめぐるのももちろんいいが、気まぐれな性格を満たすには、時にはオフロードも必要かもしれない。

 根室半島を一周し、次の目的地へ向かおうとしたとき、日が暮れかけてきた。広い北海道では、隣の街へも2、3時間かかることもある。このときも、次の目的地は、別海であった。そこに宿を予約してあった。しかし、根室市街を抜け、温根沼の手前で、バイクの異変に気づいた。ライトが道路を照らしていない。バイクを止め、前方から見るとライトのバルブが切れている。この状態では到底バイクを走らせることはできない。ガソリンスタンドは車の部品しか置いていない。根室にはバイクショップもない。ホンダのディーラーでバイクも扱っていると聞き、国道を引き返す。ディーラーは見つけることができた。シャッターを閉めている最中であった。バイクの部品も置いているが、社外品はない。そこで、ホンダの部品を取り付けた。上下反対、つまり上を照らしてしまうが、ガムテープを下側に貼ることで、上方向を照らす光を遮ることで、道路を照らすこととした。こうして、無事に別海にたどり着くことができた。もちろん、修理は釧路に着くまでおあずけだった。