放浪癖

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 旅行するのが好き。バイクでも車でも。そして...。

 小さいときは、自転車で一つの道を日が暮れるまで進み続けたこともある。ある夏の平凡な夏休み。道があると「この道はどこへ続くのだろうか?」と先にある光景を確かめたくなった。初めて立ち入る場所。そこに見る何気ない光景が自分に小さな感動を与える。いつも見ている山が角度を変え、形を変えるだけでも感動してしまう。そして、その細い一本道に数々の生活がある。田舎道は田畑が広がり、農作業をする人たちがいたり。突然飛び出す動物もいたりする。一本道を引き返すにしても、同じ光景とは限らない。180度反対側から見る光景にもちょっとした発見があったりする。とにかく飽きることがない。

 大学生になり、バイクに乗り始めた。お金がないので、ガソリン代もケチりたいところだが、たまに近所を走り回る楽しみもなくては、バイクを買った意味がないと思う。しかし、近所を回るつもりが、いつの間にか、300km離れた街にいることもあった。地図を見るのが好きで、道は大抵頭の中に入っているはず。無意識にバイクを走らせているうちに気づけば知らない風景の中を走っている。

 300km離れた街からその日のうちに自分のアパートに帰るにはちょっと遠い。心の片隅では、ビジネスホテルに一泊するくらいのお金が財布に入っていることはもちろん計算に入っていただろう。それでも計画なしのツーリングは、なにかわくわくさせるものがある。「そういえば洗濯している最中だったなぁ」とか「冷蔵庫に牛乳をしまっていなかったなぁ」とか思いつつ、日常から離れていくことがまるで現実の直面している問題から離れられるみたいな感覚がある。

 社会人になって、10年以上経って、北海道の隅から隅までバイクや車で走り尽くした。それでも、札幌から離れると日常から遠ざかる感覚は同じ。朝、通勤で車に乗っているとき、ふとこのまま交差点を反対に曲がり、どこか遠くへ行ってみたいって思ってしまう。